天上の音楽、地上の音 幸せのカタチのアイスを求めて

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  年々歳々人は齢を重ね、ありとあらゆる生き物と地球も齢を取っていきます。そして、世代を区切って表現するために標語的な分類があります。
 かつて人生50年、現在では人生100年なので、今年100歳になる方は大正13年生まれになります。90歳代で活躍している方も多いので、その方たちは「昭和一桁世代」です。1927年~1934年生まれで今年は97歳~90歳です。第二次世界大戦になって「戦中生まれ世代」は1935年~1945年生まれで89歳~79歳。
 戦後のベビーブームで、世代人口が最も多い「団塊の世代」となります。1947年生まれ~1949年生まれで77歳~75歳。これに続く世代はオイルショックを経験する「しらけ世代」。1950年~1964年生まれで74歳~60歳。共通一次試験が始まり、世間はバブル景気となります。「新人類世代」が1961年~1970年生まれで63歳~54歳。「バブル世代」は1965年~1969年生まれで59歳~55歳。第二次ベビーブームとなって「団塊ジュニア世代」が誕生します。1971年~1974年生まれで53歳~50歳。
 その後、ゆとり教育の「ゆとり世代」が1987年~2003年生まれで37歳~21歳。インターネットの普及からスマホの普及へと進みます。2004年生まれ以降の世代は「脱ゆとり世代」となんだかとってつけたような名称です。
 ここまでが日本限定の話し。「ゼット世代」が出てきませんよね。「Z世代」というのは、アメリカの「ジェネレーションZ」から来ていて、そこからZ世代という言葉で日本でも広がりました。年齢は明確に定義されていませんが、「1990年半ばから2010年代初め生まれの世代」というのが一般的となっています。29歳~13歳位。
 Z世代は、スマホやSNSなどの進化した情報技術が普及した時代に生まれた世代で、ITリテラシーが高い傾向があると言われています。
 傾向としては、製品やサービスを選ぶ際に高級感やブランド性をあまり重視しないくて、実用的で使いやすいとかコストパフォーマンスが高いとか環境や健康、社会に配慮されたものが良いと思っているようです。
また、日本に限っての事かもしれませんが、かつての常識、慣習、言葉が通じないことが多々あります。アイスクリーム業界では昭和の代表商材、かき氷カップや袋氷の赤、白が通じません。氷ものの赤と言えば、いちご味という連想にならないようです。宇治金の抹茶風味はストレートに宇治の抹茶茶に繋がるようです。テレビも冷蔵庫も洗濯機も、加えてエアコンも完全装備の時代から始まっていますし、固定電話の黒電話なんて「それ美味しいの?」の世代です。
 このような世代間格差と落差はどんどんと広がり加速しているように見えます。ですから、「万人のために」とか「全ての人に愛される」とか「老若男女に好んでいただける」などの適当な言い回しの言葉は虚しく空転を繰り返すだけなのです。
 世代が移っていくと、ココロもカタチも取り巻く生活環境も変わっていくため、そこに刺さるアイスも変わっていく必要があると思うのです。一昨年からモノ皆上がる中でアイスもかなり大幅の値上げとなっています。内容品質の維持は大切ですが、そこに止まらず、価格アップと共に進化して深化した商材を新たに創り上げていきたいと思います。
 かつて、アイスは春夏シーズンの2季でした。生活様式の変化もあって屋外消費から屋内消費へと重心が移って行ったことで春夏秋冬の4季になり、最近では初春、初夏、初秋、初冬も加えて8季対応になっています。そのため、毎月毎週どこかのメーカーから新商品発売があります。万人の為なんていう全方位型ではなくて、あなたのためにという個性ある商材の投入ならば大歓迎ですね。
 ただ、気になることがあります。天候異変です。
 8季どころか、4季じゃなくて夏冬の2季になっていくような懸念も出てきています。日本が温帯から亜熱帯に変わっていきそうな予兆もあります。世界的に高気温となっていますから、地球規模で気温上昇傾向の時代に突入かもしれません。なんだか怖いです。
 日本気象協会の気象予報士が選ぶ「2023年お天気トレンド大賞」が昨年末に発表されました。協会所属気象予報士のうち118名に調査を行った結果、1位は「記録的猛暑」、続いて2位に「長すぎた残暑」、3位「世界的高温」、4位「11月の夏日」、5位「台風の少なさ」が選ばれました。夏を象徴する暑さや残暑に関するキーワードがランクインしました。
 2023年の日本の夏(6~8月)の全国の平均気温は、1898年の統計開始以降で最も高くなりました。また、今年は日本だけでなく、世界中で高温となりました。7月の世界平均気温が過去最高を更新した時に、国連のグテーレス事務総長「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」というコメントが注目されました。
 2024年の天気はどのように動いていくのでしょうか。アイス商売はお天気産業から脱皮したと評されて来ましたが、まだまだ天候依存度は高めです。日配食品や加工食品のように、前日の販売データが翌日に連動するとは言えません。気温が大きく下降して雨が降ればたちまち売行きは悪化するのです。天候異変対応は、商材バリエーションを明確化して、天気気温に応じてきめ細かくショーケース内フォローをしていくことしかないでしょう。幸いにして現在のアイス商材は、高密度のクリームものからハードタイプの氷ものまで幅広い商品があって、春夏秋冬、季節変化に対応できるのですから、それを天気気温変動にも活用すれば、かなりの部分が上手くいくでしょう。
 世代間対応、季節対応、天候対応をこなしていくことが、現在のアイス業界喫緊の課題です。そして、内容、品質の維持からもう一歩進めて、新しい幸せのカタチをアイスで実現していただきたいと思っています。天上の音楽、地上の音と言いますが、地上でも幸せのカタチが見えると天上の音楽も聴こえてくるのです。地上でのノイズ、争い、騒擾が少しでもなくなっていくことを願い、食べると幸福感を味わえるというアイスを創り上げて幸せのカタチを追い求めたいと思います。

  引き続き皆さまのご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

株式会社アイスクリーム流通新聞社
代表取締役社長 松本元治